一浪して東大理一に入った息子が、浪人時代にしていたこと
絵本の読み聞かせの記事への反響が思いのほか大きく、
驚きとともに、多くの方にお読みいただきましたことに、
心より感謝申し上げます。
今日は、はた迷惑な絵本の読み聞かせからちゃっちゃと卒業していった息子のその後。
受験シーズンになると思い出す、大学入試についての話を書きました。
「一浪して東大理一に合格した息子が、浪人時代にしていたこと」
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高校時代の息子は、バスケとドラムとダンスに夢中だった。
バスケ部の活動をしながら、
軽音楽同好会にも入り、バンドではドラムを担当していた。
音楽のジャンルはデスメタルとかいうもので、
何かよくわからない曲に合わせて、
お面をかぶって頭をブンブン振りながらドラムを叩いていた。
むち打ちになるんじゃないかと心配になるくらい、頭をブンブン振っていた。
それだけでは足りなかったのか、
大道芸同好会なるものを新たに作り、
そこではダンスやジャグリングなどを練習していた。
ダンスはブレイクダンス。
逆立ちして、頭を床につけてクルクル回っているあれ。
体中アザだらけになりながら練習していた。
そんな高校生活を送っていた息子が、
高校3年の秋、急に東大へ行くと言いだした。
理由は、自分が研究したいと思っている分野を学ぶためには、全てにおいて東大が一番充実しているからというもの。
地元京都には大学がたくさんある。
私はてっきり京都の大学に進学するものと思っていたので驚いた。
秋から本格的に勉強を始めたものの、1年目は不合格。
浪人が決まった時、
「高校時代にやりたいことはみんなやった。やってないのは勉強だけ。だから今度は勉強する」
と言って、予備校には行かず、
自分で見つけてきた塾に通って、自分のペースで勉強を始めた。
見つけてきた塾は、先生が一人で自宅で開いている小さな塾。
宣伝もしていないし、看板も出ていない。
通っているのは近所の小、中、高校生。
息子はその塾で、小学生と机を並べて学んでいった。
毎日とても楽しそうに、一日中塾に入り浸っていた。
息子曰く
「俺は受験勉強をしているんじゃなくて、学問を学んでいる。だから楽しいねん」
何かよくわからないけど
わかったふりをしてふんふんと聞いていた。
模擬試験の結果は「N判定」
模擬試験の結果のプリントを見たとき、N判定とかM判定とか出ていてびっくりしたことがあった。
A,B,C,D,E判定あたりまではわかるけど、
N判定? M判定って何?っと思って聞いてみた。
返事はこうだった。
「受けてない科目があるから。
今勉強していて、これまでの勉強の成果を知りたい科目だけ受けた。
まだ勉強していない科目を受けても、結果は悪いことわかってるし、
わかってても悪い結果見たら落ち込んで、モチベーション下がって、やる気なくなるから、今自分が結果を知りたい科目だけしか受けてない」
正直、すごいと思った。
模擬試験は全科目を受けるもの、
何の疑いもなく、私はそれが普通だと思っていたから。
「普通を疑え!」
なんて、本のタイトルにありそうだけど、
自分の普通と自分以外の人の普通は違う。
自分で考え、自分で選び取るってこういうことなんだなと、
息子を見ていて感じた。
自分の機嫌は自分でとる。
モチベーションが下がったり、やる気をなくすようなものには近づかない。
受験生だけでなく、すべての人にとって大切なことだと私は思う。
淡路島にライブを見に行ったり、旅行に行ったり、
気分転換をしながら1年を過ごし、
息子は東大の理科一類に合格した。
大学に入って初めて連絡してきた息子が私に言ったこと。
「クラスのガイダンスの時の自己紹介で、冗談で、『母親はブラジル人です』って言ったら、誰も突っ込んでくれなくて、ほんまに母親はブラジル人って思われてるねん。だから、東京に来るときはブラジル人になってな」
息子は顔が濃い。